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[旅行コラムその4]温泉と療養泉の定義について

 日本は温泉天国ですが、温泉の泉質について少しだけ、考察してみたいと思います。温泉については先輩諸氏が、泉質から何から色々な専門書があるくらいたくさん情報がありますが、ちょっと泉質について整理してみようかと思いました。
私も温泉はとにかく好きですが、あまり泉質にこだわっているわけではありません。
でも、透明のお湯よりもなぜか濁った湯の方が体に効きそうとか、そんな感じがしないでもない。では実際どうなのか、温泉にも泉質や効能など書かれていますが、実際何が基準なのか、そこを整理してみましょう。

 ここでは全て1次情報である環境省のデータから定義を考えてみます。環境省はサイト内に「温泉の保護と利用」というページがあり、そこに温泉の定義など必要な情報が掲載されています。その中で温泉の定義や泉質の定義ももちろん掲載されています。

 まず、温泉の定義です。これは昭和23年に制定された温泉法に基づく定義です。

「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。

この中の別表とは下記の表です。
**********
1.温度(温泉源から採取されるときの温度) 摂氏25度以上

2.物質(以下に掲げるもののうち、いずれか一つ)
・溶存物質(ガス性のものを除く。)総量1,000mg以上
・遊離炭酸(CO2)(遊離二酸化炭素)250mg以上
・リチウムイオン(Li+)1mg以上
・ストロンチウムイオン(Sr2+)10mg以上
・バリウムイオン(Ba2+)5mg以上
・フェロ又はフェリイオン(Fe2+,Fe3+)(総鉄イオン)10mg以上
・第一マンガンイオン(Mn2+)(マンガン(Ⅱ)イオン)10mg以上
・水素イオン(H+)1mg以上
・臭素イオン(Br-)(臭化物イオン)5mg以上
・沃素イオン(I-)(ヨウ化物イオン)1mg以上
・ふっ素イオン(F-)(フッ化物イオン)2mg以上
・ヒドロひ酸イオン(HASO42-)(ヒ酸水素イオン)1.3mg以上
・メタ亜ひ酸(HASO2)1mg以上
・総硫黄(S) [HS-+S2O32-+H2Sに対応するもの]1mg以上
・メタほう酸(HBO2)5mg以上
・メタけい酸(H2SiO3)50mg以上
・重炭酸そうだ(NaHCO3)(炭酸水素ナトリウム)340mg以上
・ラドン(Rn)20(百億分の1キュリー単位)以上
・ラジウム塩(Raとして)1億分の1mg以上
**********

上記の1.か2.を満たしていれば温泉です。
つまり物質が入っていなくても、温泉源から出る温水、鉱水、水蒸気、ガス(この場合炭化水素主成分の天然ガスはのぞきますが)が25度以上であれば温泉です。
また物質が上記2.のいずれかが規定量以上含まれていると、25度以下でも温泉です。

さて、こう書いてしまうと、掘って出た液体はほとんど温泉になってしまうのではと思いますが、まさにそうだと思います。ただし、温泉の中でも治療目的に使う「療養泉」となるともう少し基準が厳しくなります。

「療養泉」とは、温泉(水蒸気その他のガスを除く。)のうち、特に治療の目的に供しうるもので、表2の温度又は物質を有するものと定義されています。

ここの表2は下記になります。
**********
1.温度(温泉源から採取されるときの温度) 摂氏25度以上

2.物質(以下に掲げるもののうち、いずれか一つ)
・溶存物質(ガス性のものを除く。)総量1,000mg以上
・遊離炭酸(CO2)(遊離二酸化炭素)1,000mg以上
・銅イオン(Cu2+)1mg以上
・フェロ又はフェリイオン(Fe2++Fe3+)(総鉄イオン)20mg以上
・アルミニウムイオン(Al3+)100mg以上
・水素イオン(H+)1mg以上
・総硫黄(S)〔HS-+S2O32-+H2Sに対応するもの〕2mg以上
・ラドン(Rn)30(百億分の1キュリー単位)以上
**********

温泉と若干基準が違います。大きな違いは温度が25度以上であること、療養泉には物質に銅イオンとアルミニウムイオンが入っています。温泉の基準を満たした上で、温度が基準値以上か、これらの物質が1つでも基準値以上あれば療養泉となるということです。

ちょっと堅苦しい基準ですが、これらは覚えなくとも、こんなものなのだなと思っていればいいかもしれませんね。

私達に馴染みのあるのは、やはり泉質ですね。
こちらは、次の機会にご説明しましょう。

*参考文献、サイト等
・環境省自然環境局サイト

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